ふるさと納税は、年末が申し込みのピークだ。出身地などに寄付するという趣旨だけに東京都内の自治体は財源を失う場合が多く、今年度に納められるはずだった税収が計857億円も減った。返礼品競争の激化に「官製通販」と批判もあるが、ついに都内でも参入の動きが広がった。
「財源の地域間格差を是正する」という趣旨で始まったふるさと納税は、今や寄付総額が8千億円を超す規模にまで膨らみました。その結果、財源を失ってきた東京の自治体も返礼品競争に加わらざるを得ない事態に。いったい現状をどう考えればいいのか。専門家の意見も聞きました。
「方針を変更し、返礼品を充実させ、特設サイトを開設することにしました」。11月、区長自ら「参戦」を宣言したのは、都内の自治体で最多の人口約92万人を抱える世田谷区だ。
保坂展人区長は「返礼品競争には加わらない」という姿勢を続けてきたが、ふるさと納税の広がりとともに税収の「流出」額が10億~20億円のペースで年々増え、今年度の納税分は過去最大の87億円になった。区民税収入の約7%に匹敵する。
制度開始以降の累計は実に364億円。これまで、医療的ケアが必要な子どもへの支援費を募って返礼品に地元の菓子を贈るなどの形でふるさと納税を活用してきたが、集まった寄付は累計15億円。「流出額とは桁が違う。背に腹は代えられない。取り返さなければ厳しい」と区の担当者は危機感を隠さない。
サイトに載せた返礼品は約1…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル